BECKMANN NORWAY)北欧には、日本の皆様に気に入っていただけるような「北欧ならではの雰囲気や魅力がある」と感じています。北欧のテイストを参考にした商品が多く見られるようになった中で、北欧諸国の中でもより雄大な自然を評価される「ノルウェー」という国自体への興味関心も近年ますます高まってきていると。一方で、他の北欧諸国で見ると、例えばフィンランドやスウェーデンは雑貨や家具で知名度が高いブランドが多くありますし、デンマークはデザイン分野で世界をリードしている印象です。これに対して「ノルウェーは、何を思い浮かびますか?」との質問へは、ほぼ全ての方がサーモンか石油に関する回答をされる。その中で実は、BECKMANN NORWAYのように古くから国民が愛し、大事にしてきたブランドがあるということをお伝えすることで、よりリアルなノルウェーをお伝えできると考えています。1946年に始まるBECKMANN NORWAYは、当時から子供の体を研究したリュックをつくっている
田中)北欧って日本人にとってはデザインというイメージが強い中で、ノルウェーはデザイン性だけではない何か無骨な感じもしますよね。他の北欧諸国と比べて、ノルウェー自体それほどデザイン性みたいな領域を強調・アピールしすぎていないのかな、という感じがしています。他の北欧諸国がユニバーサルデザインも含めてデザイン性を極めていっているなか、人間の体や自然とか、何かそういうところに沿ったノルウェー独自のモノづくりがベースにあるような気がするんです。
BECKMANN NORWAY)そうですね、まさにおっしゃる通りで、ノルウェーの国民性を一言で表すとすれば、それは「多様性」という言葉に集約できるかな、と。よく言われるのは、フィンランド、スウェーデン、デンマークなどの他の北欧諸国と比べて、ノルウェーは自然環境が最も厳しくて、そこで素朴に暮らす無骨な人たちというイメージがあります。そうした背景があるので、とにかく何がプラクティカル(実用的)か、という点を重んじる国民性っていうのがありますね。こうした国民性がモノづくりにも反映されているように感じられます。一方で、最近はノルウェー出身のデザイナーも増えてきていて、オスロの街中などもすごくお洒落の建物などが増えてきています。小さいものから大きいものまで、モノづくりはいろいろありますが、消費者としても何が一番プラクティカルかということを重視するので、BECKMANN NORWAYもそういう視点で選ばれるブランドだと言えます。目の肥えた消費者の期待にお応えするためにも、単にお洒落な製品ではなく、身体に良い品質、自然環境に優しい素材であることなどを科学的に実証し、それが多数の認証や表彰の獲得に繋がっていると考えています。
田中)オスロに行った際、BECKMANN NORWAYのリュックが書店の店頭で販売されていることが印象的でした。なかなかユニークな販売手法ですよね?みんながリュックを本屋さんに買い行くって。
BECKMANN NORWAY)ノルウェーの会社の特徴として、先ほどのプラクティカルに通ずるものがありますが、効率性を非常に重視します。従って、直営店を出して説明することなどはせず、本や文房具など学校で使うものが揃っていて、親子で行く機会が多い書店で販売を行うような、なるべく効率的に、既存の流通網を利用するいわゆる「ノルウェー流」が表れていますね。
田中)ノルウェーの子育てとか健康志向に関することについても伺いたいです。BeinBeinは栄養補助食品という位置づけですが、ノルウェーでは、子どものうちから栄養素をサプリメントで補給をするということに罪悪感が全くないことに驚かされます。もちろん土地柄としてノルウェーは日照時間が短いので、しっかりビタミンDなどを外から取らなきゃという必要に迫られて取っているというところがあるとは思いますが。もちろん栄養を食事から摂るというのが大原則だと思うんですけれども、これもノルウェーの社会と共通する部分がありますが、日本でも共働きが増え、もう20年30年前とは社会構造が違って、毎日しっかり一から準備して食事を子どものためにってなかなか難しいところがあるのかなと。ノルウェーは女性の社会進出が世界で一番進んでいるなど、女性が働く文化だからこそ、先進的な健康に対する考え方や向き合い方、というのはあるのかなと思っています。 ノルウェーのスーパーには、子ども向けの栄養補助食品が数多く並ぶ
BECKMANN NORWAY)我々は子供のリュック事情において、おっしゃっているテーマとの類似点があると考えています。日本は歴史を重んじますし、ものづくりのレベルも世界トップレベル。従って、突き詰めた品質の製品や文化をみんなで使うという考え方はリスペクトしています。
一方で、例えば小学校・中学校・高校での持ち物が重くなってきていて、いわゆる「ランドセル症候群」と呼ばれる過度に重い荷物が、怪我だけでなくメンタルにも支障を及ぼしているケースが散見されています。実際に私たちもリュックブランドとして、子どもを持つママさんたちにヒアリングを行いますが、やはり昔と比べて重量が大幅に増えた荷物を持つと不安な気持ちになると言う方も少なくありません。我々のリュックには荷重を背面全体に分散するための軽量S字アルミプレートが内蔵(※)されていて、荷重が肩に集中しないため肩や背中への負担が減るって楽だというお子様の声も多数いただきます。これまで築きあげてきた伝統の製品・文化と合わせて、新しい技術で子供や自分の身体を守る。こういった考え方も浸透していくと、よりストレスも低減でき、日常生活がさらに楽しくなるのではと考えています。
※軽量S字アルミプレートは、サイズの小さいモデル(URBAN Mini、CITY Light)には採用されておりません。背中に沿った曲線によるサポートをする軽量S字アルミプレートが、荷重を背面全面に分散させる
BECKMANN NORWAY)女性の社会進出については、男女の雇用機会の均等性はとても整備されています。例えば上場会社ですと、取締役会の40%以上は異性が入っていることが法律で義務付けられています。制度的に女性と男性がほぼイコールの人数でなければいけないと決まっているのです。職場でも、育児休暇で女性か男性の同僚の誰かがいないという状況が常日頃であり、全員が揃うことはほとんどありません。それでも仕事がまわる会社の仕組みを作る事が求められています。育休に関しても、夫婦/パートナー2人で取得できる合計期間が決まっているなど、国として「家庭を大切にするべきという」理念をもち、制度まで落とし込んでいると言えます。
先日も、散歩中にベビーカーを押しながら閣僚の会談が行われたというニュースがありました。閣僚同士のミーティングが予定されたものの、片方が育休を取ってるので、実現するためにこうした形式での会談になったという訳です。女性の閣僚がコーヒー片手に子どものベビーカーを押しながら、周りには一般の人が歩いている中で、トップ会談をしている光景は、日本だとなかなか想像できないものですが、こういった点は日本でも少し参考になる部分であると思っています。
田中)さきほど「多様性」というキーワードも出てきましたが、その点については如何でしょうか?
BECKMANN NORWAY)社会での多様性は子供が幼い頃から教育をされるため、社会に深く浸透しています。例えばアジア人がノルウェーのレストランに入ると、最初に必ずノルウェー語で話しかけられるんです。なぜなら、もしかしたら彼が移民2世かもしれない。親は外国人かもしれないけれど、本人はノルウェー人として生まれ育っている人かもしれないという発想があります。従って、最初に英語で話しかけたら、すごく失礼だと考えるんです。まずは見た目に関わらずノルウェー語で話しかけるといった認識はとても興味深く、多様な人々を需要して今のノルウェーが出来上がっているんだなと日々感じています。
田中)社会というのが合理的に回っているのかなと思う反面で、いわゆる自然に囲まれた環境で、ノルウェーの方々は人が人らしく自然でいられている印象があります。合理性と自然というある種相反するものが何かうまく融合しているのかなっていう気がするんですけど。
BECKMANN NORWAY)そうですね。こちらは自然が壮大であると同時に、非常に過酷であるため、価値観の根本に、「自然は圧倒的であり、人間がコントロールできるものではない」という概念が存在すると思います。「自然の中で生かされている」という感じでしょうか。街中も緑が多いですが、ノルウェー人のメンタリティとしても、長く都会で過ごしていると、「ちょっと森に帰りたい」と言い出す人が多いですね。自然の中に入るといろいろな感覚がリセットされるという、ノルウェーらしい性格があります。 自然に囲まれて暮らす、ノルウェーらしい街並み
写真:1枚目 BECKMANN NORWAY提供 2枚目 sikksakk提供 3枚目 BECKMANN NORWAY提供 4枚目 sikksakk提供
- sikksakk 事業部代表 田中啓之
- Octroll株式会社代表。大手商社で、食料品の新規開発をアジア・オセアニア各国にて主導。 2016年に現ビジネスパートナーであるノルウェー人Frode Bohan氏と出会い、北欧の自然と共存する生き方に感銘を受ける。 同じく自然を敬ってきた日本に、北欧の高度な研究によるエビデンスに基づいた自然由来の素材を届け、また日本の優れた素材を世界へ届けたいと、Octroll株式会社を立ち上げる。 健康・食品に関する研究をリサーチし、分析することが得意。