ジャーナル

子どもの未来は、お母さんの栄養から始まる

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2025.01.09

子どもの発達において、お母さん自身の食生活がどれほど重要かをご存じでしょうか?最近発表された研究(※)により、妊娠中のビタミンB12摂取が、子どもの認知能力、特に言語発達とIQに密接に関わることが明らかになりました。この研究は、チェコ共和国Masaryk大学の研究者らによって実施され、母親の栄養状態が胎児の脳の発達に直接影響を与えることを改めて示しています。

 

ビタミンB12は、脳の発達やDNA合成に欠かせない栄養素です。しかし、体内で合成できないため、食事やサプリメントから摂取する必要があります。動物性食品、特に魚、肉、卵、乳製品に多く含まれる一方で、植物性食品にはほとんど含まれていません。そのため、ビーガンやベジタリアンの妊婦の方は、特に不足のリスクが高いとされています。

 

 

 

この研究では妊婦5151名を対象に出生前のビタミンB12摂取と子どもの認知発達との関連性が調査されました。その後、出産後18ヵ月、3歳、5歳、7歳、の時点での子どもの言語能力について両親が質問事項に回答する形でデータがとられ、また854人の子どもを対象に8歳時点での知能指数(IQテスト)も測定されました。結果、妊娠中にビタミンB1213.0㎍以上摂取した母親の子どもは、言語、発話、理解、などの言語発達のスコアが高くなることが分かりました。また、8歳時点では、IQテストのスコアに差が出ることも確認されています。

 

では、どうすればこの問題を防げるのでしょうか?まず、妊娠前や妊娠中に、医師や栄養士に相談し、自分の栄養状態を把握することが重要です。血液検査を受けることで、ビタミンB12の不足を早期に発見し、必要に応じてサプリメントを取り入れることができます。また、妊娠計画中の方は、栄養バランスのとれた食事を意識することが大切です。ビタミンB12が豊富な食品を積極的に摂取することはもちろん、ビーガンやベジタリアンの方はB12を補強した食品(例えば、強化シリアルや栄養酵母)を取り入れることも効果的です。

 

妊娠期の栄養は、赤ちゃんの未来を育む基盤そのものです。「食べること」は、単なる栄養補給ではなく、未来の命を思いやる行為です。この大切な時期に、自分と赤ちゃんの健康を守るために何ができるかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

 

未来を育む一皿を、今日から意識してみませんか?

 

※出典:

Journal of Public Health, fdae307

Vitamin B12 intake during pregnancy linked to child speech development and intelligence quotient