骨の強さとは?
強い骨をつくる、とよく言いますが、骨の強さとはなんでしょうか?
骨の強さ、つまり強度は、骨質+骨密度で決まります。
骨質とは?
まず、骨のつくりを簡単に説明すると、骨の内部はコラーゲン繊維(タンパク質)をハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの結晶)でコーティングしたものでできています。これは、建物に例えると、鉄筋の骨組みがコラーゲン繊維で、コンクリートがハイドロキシアパタイトでできた柱のような構造。家の梁(はり)のように骨を内側から支える小さい柱を「骨梁」(こつりょう)と呼びますが、この骨梁はスポンジのように立体的な網目構造になっていて、すき間には骨髄が詰まっています。この網目構造のおかげで骨格は軽量化され、表面の骨とともに体重を支えられるほど強固なものになっているのです。そして、この骨梁の設計構造が「骨質」で、骨の強さを決める要素のひとつ。どこにどの程度の太さの梁があるか、骨梁の張りめぐらせ方がとても重要なのです。
骨芽細胞とその働き
骨梁の骨組みになるのが、鉄筋に相当するコラーゲン繊維。それを体内でつくり出すのが、「骨芽細胞」(こつがさいぼう)です。骨芽細胞は“骨の芽”と書くとおり、骨を構成するコラーゲン繊維とハイドロキシアパタイトをつくり出す細胞で、やがては自身がつくった骨の中に埋もれてしまいます。成長期には骨芽細胞の働きが活発になって骨がつくられ、骨折をしたときに骨を修復するのも骨芽細胞の働き。だから、強い骨のためには、体内でつくることができないカルシウムはもちろんのこと、骨芽細胞の働きを促進するマグネシウムも、しっかりと摂取する必要があるのです。
骨密度とは?
骨質とともに骨の強さを決めるもうひとつの要素が、よく耳にする「骨密度」(こつみつど)。骨の量を判定する指標で、骨の中に、カルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラル成分がどれくらい詰まっているかを表すものです。骨密度が低く、スカスカな状態が骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で、骨折しやすい、もろい骨になっています。将来的にもしっかり骨密度を保てるように、成長期から丈夫な骨づくりを考えておきたいですね。
- BeinBein研究開発ブレーン 竹若剛志
- 東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻修士課程修了後、大手メーカーで新規事業の研究に従事。学部生の頃から惹かれた「医食同源」の分野で広く深く活動する地力をつけるため退職し大学院博士課程へ。博士号取得後は同分野の幅広い領域の研究に従事し、機能性表示食品制度の運用開始を機に関連業界の各階層の仕事をするべく起業し今日に至る。専門は、分子栄養学、細胞生物学、分子生物学、微生物学。趣味は休日の古都・海岸の散策。