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Interview #04 篠崎澪(元・富士通 レッドウェーブ バスケットボール選手)/ 後編

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成長期の子どもたちの丈夫なカラダをつくるゼリー「BeinBein 骨+」。カルシウムの吸収に必要な栄養素を詰め込んだゼリーを企画・発案した田中加奈子「BeinBein」製造販売会社「Octroll」(オクトロール)が、元バスケットボール選手の篠崎澪さんと対談。体づくりやふだんの食生活について話を伺いました。前編に続いて、後編をお届けします。


カラダづくりのために、食べものに気を配る。


田中) 私は成長期の子どもたちの丈夫なカラダをつくるゼリー「BeinBein 骨+」を製造販売する会社を営んでいます。子どもを持つ親という立場になり、子育てや子どものカラダのことについて考える機会がぐっと増えたことが、〈sikksakk〉というブランドのはじまりのきっかけで。 “丈夫な骨づくり”をサポートできるゼリーは、カルシウムとともに必要なビタミン、マグネシウム、鉄、亜鉛など、さまざまな栄養素も豊富にバランスよく配合しています。さらには、成長ホルモンの働きをサポートする亜鉛・ビタミンB12を配合しているところが最大の特徴ですね。日常生活において、日に当たる時間が少ないと、カルシウムの吸収を促す働きをもつビタミンDを体が作り出せないのです。一生のうち、骨量が最も多いのは20代で、そこから骨量は徐々に減ってしまう傾向にあって。将来のリスクを見据えて、骨の成長が活発でカルシウムの吸収率が高い成長期に、できるだけ骨量を増やす努力が大切になってきます。
「BeinBein 骨+」はぶどう味と青りんご味の2種類。凍らせてシャーベットのようにして食べてもおいしい。

篠崎) そうなんですね。ゼリーで必要な栄養素が摂れるのはとてもいいですね。昨今は猛暑ですし、私自身、あまりに日光に当たりたくないという気持ちもあり、自然と子どももあまり太陽の光を浴びなくなってしまっていました。実際、子どもの検診をしたときに先生から「ビタミンDを摂取したほうがいい」とアドバイスされたので、それ以来、サプリメントで摂取するようにしています。加えて、血液の検査をしてみたところ「貧血」持ちであることがわかり、鉄分不足も指摘されました。通っている病院の先生いわく、母乳がメインの人は子どもが貧血気味になると言っていて。そのお話を聞いてから結構敏感になっています。

田中) 大人も、子どもも健やかなカラダづくりは常に課題ですよね。篠崎さんが現役時代にお話されていたことの一つに「体力で負けてはいけない」というお言葉がありました。そもそも、体力がないと技術を磨けないものですよね。

篠崎) そうですね。それこそ、「心・技・体」と言われるじゃないですか。中学校の時に先生に「心技体のどこを一番にするんだ!?」と問われたことがあってどれも大事ですが、私はやっぱり、「体力」を一番強化したいと思っていたんです。そもそも、バスケットボール自体、とても運動量が多くて体力がないとできないスポーツですし、自分のプレースタイル的にも体力をつけることはとても大事なことだと思い、今までやってきました。先ほどのメンタルの話でも触れましたが、「心・技・体」はどれも本当に大切だということを、成長するにつれて深く感じておりました。

田中) 自分のカラダを思い通りに動かすために、子どもの頃から食べものを意識されていましたか? 

篠崎) 小さいときはそこまで考えが追いついていなかったですね。小学校のときは炭酸飲料を飲まないように気をつけていたくらいで。私の母は陸上競技をやっていたこともあり、日常的に栄養面は気にかけてくれていました。高校のときのバスケットの先生は食事面においてもアドバイスしてくれる方でした。

田中) バスケットの実践のみならず、食生活もプレーにつながるという思想をお持ちだったのでしょうか?

篠崎) そうですね。年に1回、保護者と子どもを対象とした「栄養講習」を開いてくれたのでそれを受けていました。そこで得た知識を踏まえて、母がお弁当を作ってくれていました。栄養として何が必要なのかを考えて、食事のサポートをしてくれていたことに感謝しています。

田中) その内容は今も覚えていらっしゃいますか?

篠崎) できれば「1日30品目摂るのが理想」と言われたので、母はお弁当に最低15品目入れるように心がけてくれていました。加えて、卵焼き、ご飯、お味噌汁などに具材をたくさん入れてできるだけ品目を多くするようにしてくれていたようです。あと、バスケのチームとしては「揚げ物は食べない」という決まりがありました。試合前はエネルギーを蓄えた方がいいから、炭水化物をいつもより多めに摂るということも意識していましたね。


良い食事を摂ることが、ケガの防止になる。


田中) 社会人になってからはいかがですか?

篠崎) 富士通のチームには寮食だったので栄養管理士の方がいて。朝・昼・晩、食事が用意されている恵まれた環境でした。そのメニューに準じて、外食するときは基本として「主食・主菜・副菜」を揃えて食べることを意識していて。メディカルチェックをして貧血が気がかりだったので、プラスアルファとしてプルーンや鉄分入りのチーズを食べるようにしていました。あとは鉄の吸収を良くするために一緒にビタミンCを摂取するといい、とアドバイスをもらったので心に留めながら生活していました。

田中) ハードな練習をしながら自分で管理するのはなかなか大変そうですが、栄養管理士さんがいると心強いですね。

篠崎) そうですね。ただ、1週間に2日くらいオフがあるのでそういうときは自分で管理しないとならなくて。富士通に入団して3年目までは栄養講習会のようなものがあって参加していました。コロナ禍は家から出られなかったので、各自料理を作る生活で。料理の写真をトレーナーに送ってバランスを見てもらいつつ食生活を整えていた感じです。こうして食事に気を付けていると、カラダの動きに変化が訪れるように思います。

田中) 常にカラダにいいことをしていないとプレーに影響があるという、マインドセットになっていましたか? 

篠崎) それはものすごくありました。食事や睡眠の内容によってカラダが重たく感じることもあるので。気を使っているときは、体が軽く感じられます。それによって、自ずと運動したときの疲労感も変わってきますね。

田中) カラダが軽く感じられたときの食事をルーティーン化するような心がけはされていましたか?
提供写真:篠崎澪

篠崎) 食べものをルーティーン化する試みは特にしませんでしたが、カラダがよく動くような行動は心がけていました。いつも日曜日に試合があり、月曜日の午前中に「アクティブレスト」と言って、軽く体を動かして調整するようなプログラムが組まれていて。月曜日の午後から火曜日がオフというスケジュールで取り組んでいたのですが、オフの日に軽く動くと、その次の日にすごい体が軽くなるんです。そのことを現役最後の年に発見してからずっと継続していました。

田中) あらかじめ決められた練習メニューが与えられる場合は、ときとして、こなすことが目的になってしまったりすることもあると思います。自分には「これが合っている」と見極められるセンスは、学生時代の恩師の影響が大きいですか?

篠崎) そうですね。特に高校時代の経験が大きかったと思います。先生には、「自分には何が足りないのか、何が必要なのかを常々考えなさい」と言われていたので。そこで、自分には何が必要かを自問自答したときに、「試合の最後まで走り続ける体力」が必要だと思ったんです。もともと走るのは得意だったのでそれをさらに伸ばすことは武器になると思いました。それは私の選手としての基本になっていると思います。

田中) 人からアドバイスされるのと、自分で気づくのは全然違いますか?

篠崎) 人から言われると強制みたいになってしまいますね。私の性格上、「自分でこれだ」と思った方が継続しやすいように思います。

田中) やはり、自分が決めたことは継続しやすいものですよね。ちなみに、現役を引退された今も、食事に気を使っていらっしゃいますか?

篠崎) そうですね。夫もアスリートなので栄養面は気をつけています。できるだけ低脂質・高タンパクのメニューにするようにしていて。朝は玄米ごはん、サラダ、目玉焼き、納豆、きんぴら、ひじき、味噌汁といった和食中心です。


カルシウムやビタミンを積極的に摂るということ。


田中) ちなみに篠崎さん自身、カルシウムの摂取は意識されていますか? お子さんの骨の強さとかも。

篠崎) そうですね。高校 1 年生の時に疲労骨折してしまったこともあって、結構意識はしていました。そのあと、高校3年生のときにプレー中の接触によって骨折をしてしまったんです。そのときは少しでも早く骨がくっつくようにカルシウムを摂取しようと小魚を食べていました。母が作ってくれるお弁当にもいつも小魚を入れてくれていた記憶がありますね。

田中) 食事に限っていうと、今までに培った経験や知識を踏まえて若いときの自分に教えてあげるならどんなことを伝えてあげたいですか?

篠崎) お菓子と揚げ物を食べすぎていた気がしていて(笑)。そのことは注意してあげたいです。

田中) 屋内でスポーツをされている方は、基本的に日光に当たる機会が少ないですよね。だから、ビタミンDが欠乏しやすいと言われています。ビタミンDが不足すると骨折をはじめとしたケガのリスクが上がってしまうんです。現役時代に骨のために意識的に習慣化していたことはありますか?

篠崎) 記憶を辿ってみれば、学生時代にそうした知識を学んだように思いますが、あまり意識的に対策できていませんでした。子どもを産んでから、ビタミンを摂取することの大切さに改めて気づいたところがありました。やっぱり、ケガをしないためのカラダづくりは、「いい食事を摂る」ということが大事。あとは、ウエイトトレーニングをして筋力を上げるということに力点を置いていました。加えて、カラダの柔軟性もとても大切ですね。「食事」「運動」「休息」のバランスを常に意識していました。

田中) 私と夫が経営している会社は、北欧で開発されたサプリメント原料を販売しているのですが、北欧は白夜で冬の間は太陽が全然昇らないので、いつも屋内にいるような感覚に近いんです。そういう環境下だとかっけが重症化してしまうことも。だから9月頃になると政府がC Mで「ビタミンDを摂ってください」とアナウンスするんです。それもあって、大人も子どもビタミンを摂ることが暮らしに根付いています。温暖化による気温上昇の影響で、外で遊ぶ時間もなかなか持ちづらくなっていたりもしますし、都会に暮らしている人は、そこまで外で遊ぶことを大事に思っていなかったりもして。太陽を浴びないことをすごく深刻なことだと思わないのは良くないので、そういうメッセージも発信できたらと思っています。あとは、スポーツをやっている方はよりビタミンを多く摂らないとコンディションに影響を及ぼしてしまうと思うので、そういったことを多くの人に知ってもらいたいと思います。

篠崎) 私は医者から推奨されたサプリメントを子どもに摂らせていますが、味がないので飲まなかったり、嫌がったりもすることあります。なので、「BeinBein 骨+」のように「摂るおやつ」形式で摂取できるならば、子どもも積極的に食べられるのでとても良いように思います。これは、大人も食べていいものなんですか?

田中) 大人にも必要な栄養素が含まれているので、大人が食べても良いです。子どもは1日に1本が目安です。おいしくて必要な栄養素がちゃんと摂れるので、学生時代の篠崎さんにあげたかったですね(笑)。

篠崎) 親子が一緒に楽しんで食べられそうなのがいいですね。子どもは親が食べているものを見て、欲しがるようなところがありますし。一緒に食べることで絆を深めるいい機会になり、健康にもなれる。今回、お話を伺ってビタミンをはじめとする栄養素の大切さを改めて知れたので、これからも積極的に摂取していきたいと思います。これからの未来、子どもがスポーツをやるにしてもケガで泣いてほしくない、という強い気持ちがありますし。知識を備えて、子どもを導いてあげることでケガを未然に防止できたらいいですよね。

田中) 篠崎さんがおっしゃっていた「できることはやった」という確かな自信に繋がりそうですね!


篠崎澪
1991年生まれ、神奈川県出身。若葉台北小クラブでバスケットボールを始める。旭中学校時代にはジュニアオールスターに出場。松蔭大学でユニバーシアード日本代表に選出され、2013年インカレではM V Pと得点王をダブル受賞。卒業後は富士通レッドウェーブに加入。15年アジア選手権では日本代表の一員として金メダル獲得に貢献。21年東京オリンピックに出場。21-22シーズンで現役を引退した。

田中加奈子
〈sikksakk〉事業部代表。 大学卒業後、子ども服の会社で接客販売、販売促進、営業推進を経験。人がモノを買う動機に興味を持ち、広告代理店に転職する。ビッグデータを使った顧客分析に従事し、出産を機に退職。夫婦が一緒に子育てするライフスタイルを目指し、夫がノルウェーの友人とOctroll株式会社を起業。ともに業務をサポートしている。北欧文化から生まれる、インテリアやデザインの領域に関心が高い。

写真:Shin Hamada
文:Seika Yajima