カルシウムが骨に届くまで
体内に摂取されたカルシウムは、まず胃酸などでイオン化され、ほかの栄養素とともに小腸へ。このとき、血中のカルシウム濃度が不足していると“カルシウムを取り込む必要がある”と判断して、腸管から血管へカルシウムを取り込むパイプを開くよう、ビタミンDが指令を出します。そうして血液に取り込まれたカルシウムは血管内を巡って骨芽細胞へ届けられ、ハイドロキシアパタイトという結晶状のカルシウムに変化。それが、コラーゲンと合体するかたち(くわしくは、骨の基礎知識#01へ)で骨に定着します。
カルシウムは摂り過ぎても大丈夫?
血中カルシウム濃度が不足しないとビタミンDが指令を出さないため、腸管から血管へのパイプは開きません。カルシウムが十分な濃度でパイプが開かない場合、カルシウムは血液に取り込まれることなく排泄されるので過剰摂取は起きないのです。一方で、血中のカルシウム濃度が低くなっても新たにカルシウムが摂取されない状況では、骨に蓄えられたカルシウムを溶かし出して濃度を上げようとするので、骨密度が下がり骨がもろくなる原因に。仕組みを考えると、カルシウムは一度に大量に摂取するのではなく、毎日継続して少しずつ摂ることが理にかなっていますね。
- BeinBein研究開発ブレーン 竹若剛志
- 東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻修士課程修了後、大手メーカーで新規事業の研究に従事。学部生の頃から惹かれた「医食同源」の分野で広く深く活動する地力をつけるため退職し大学院博士課程へ。博士号取得後は同分野の幅広い領域の研究に従事し、機能性表示食品制度の運用開始を機に関連業界の各階層の仕事をするべく起業し今日に至る。専門は、分子栄養学、細胞生物学、分子生物学、微生物学。趣味は休日の古都・海岸の散策。