骨は新陳代謝するという事実をご存知ですか?
成長期を過ぎて大人になっても、骨は常に新しく生まれ変わっているのです。
骨が生まれ変わるメカニズム
骨の新陳代謝を担うのは、骨を形成する骨芽細胞(こつがさいぼう)と、骨を壊す破骨細胞(はこつさいぼう)。骨はハイドロキシアパタイトというカルシウムとコラーゲン繊維でできているのですが(くわしくは、骨の基礎知識 #01へ)、破骨細胞がカルシウム*を溶かし出し、コラーゲン繊維を壊して古い骨を壊すと、その壊れた部分を補修するように骨芽細胞がコラーゲン繊維とカルシウム*を産生し、新しい骨をつくります。古い骨を壊す→新しい骨をつくる→また古くなった骨を壊す…そんな無限のループで骨は新陳代謝を繰り返しているのです。壊すというとよくないことに感じられるかもしれませんが、それによって新しい骨がつくられ、骨がリフレッシュしていくので、破骨細胞の働きもとても重要であることが分かります。
文中のカルシウム*は、ハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)を指します
運動で骨を壊す?
丈夫な骨のためには運動が必要と言われますね。その理由は、走る、ジャンプするなどの運動によって骨に適度な負荷がかかると、マイクロクラックと呼ばれる小さなひびが入るから。骨の代謝メカニズムで破骨細胞が骨を壊した場合と同様に、このマイクロクラックを骨芽細胞・破骨細胞が発見して、新しい骨をつくります。マイクロクラックは骨折とは違い、微細なひびなので日常生活に支障はありません。成長期には骨を大きくするために、マイクロクラックを生じさせて骨の補修をどんどん促すよう、骨に適度な負荷をかける運動が欠かせないのです。
また、骨折すると骨が再びくっつくなどと言いますが、これも骨芽細胞が患部を集中的に補修する働きで新しい骨がつくられるからです。骨折が治った部分は骨が新しくなるので、強くなることも分かっています。
- BeinBein研究開発ブレーン 竹若剛志
- 東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻修士課程修了後、大手メーカーで新規事業の研究に従事。学部生の頃から惹かれた「医食同源」の分野で広く深く活動する地力をつけるため退職し大学院博士課程へ。博士号取得後は同分野の幅広い領域の研究に従事し、機能性表示食品制度の運用開始を機に関連業界の各階層の仕事をするべく起業し今日に至る。専門は、分子栄養学、細胞生物学、分子生物学、微生物学。趣味は休日の古都・海岸の散策。